10泊の夏季長期野営 - 閑時作業とその成果
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6:30 全員起床・朝食
7:00〜7:20 班長会議
8:00〜8:30 点検・講評
8:30〜9:00 朝礼・体操・スカウツオウン
9:30〜11:30 午前の課業
12:30 昼食
13:30〜16:30 午後の課業
18:00 国旗後納
18:15 夕食
19:00〜21:00 夜の課業
21:00〜21:30 班長会議
22:00 消灯
閑時作業とその成果1
水汲み 01
閑時作業とその成果2
炊事 83
上の日課表で、黄色で示した部分、課業と課業の合間を、閑時作業と言っています。
英語では Spare Time Activity
つまり空いている時間にする作業で、結局、空き時間はないことになり、とても大変なのですが、これがボーイスカウトの野営の特長であります。
詳しくは、以下に。
第15回夏季長期野営実施要項に掲載されている B-P の言葉も参考にしてください。

さて、閑時作業は、私たちの野営の中でも、もっとも重視している部分のひとつです。
野営の優秀班の評価のうち、半分ぐらいは、この閑時作業の成果が占めています。
もちろん課業の成績なども考慮しますが、私たちの野営は、あくまで各班がそれぞれのサイトを運営していくことを主眼にしていますから、閑時作業こそが真価になってきます。

閑時作業は、生活そのものとしての、水汲み薪拾い炊事食器洗い乾燥作業整理整頓洗濯などから、その生活を一層快適にするために工夫することが問われます。

快適な野営を目指すには、各種の工作物を作ることが必要になってきます。
炊事のためには、かまど調理台・(食料)貯蔵庫薪置き流し食器置きが。
食事は食卓で。
工具の管理のために、工具置きが。
その他、乾燥・整理整頓を目的に、リュック置き靴置き物干し場書類置きなどが必要になってきます。
もちろん、便所も必要ですね(各班ごとに作ります)。

これらの工作物ができてくると、生活が快適になります。
地面にまな板を置いて調理するより、調理台で調理する方が、よほど清潔で、速く、楽に作業ができます。

まずは、各種の工作物をご覧ください。

さまざまな、工作物があり、それぞれ、作った者の工夫のあとが見られます。

閑時作業とその成果3
地面にまな板を置いて調理するより 01
閑時作業とその成果4
調理台の方が清潔で楽 85
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食卓 81
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調理台設計図の例
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貯蔵庫 01
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工具置き 83
最近は、ローインパクトを心がけ、できるだけ穴を掘らないのですが、以前は穴を掘って、生ゴミをまずそこに落としていました。
穴には、すのこを入れておき、ゴミが溜まったら、引き上げて乾燥させ、焼却していたのです。
そのまま埋めてしまうケースも多々ありましたが...。 (^^;)

右の調理台は、ゴミ穴のふた(蝿よけ)にひもを付け、足で踏み下げて、開けるようにしています。

ちょっとした工夫が良いですね。

曲がった木を上手く使うところが創意工夫のミソです。
私たちが竹を使わないこだわりのひとつかも。

閑時作業とその成果9
ごみ箱のふたの工夫 78
閑時作業とその成果10
木の枝のコップかけ 78

私たちの作る立ちかまどは、独特の形をしています。
よく見かける三角形のものではありません。
火床の周りが特長で、泥で反射炉を作り、熱効率を上げているのです。

夙川スカウト初期のずっと先輩が開発したものですが、今ではすっかり定着しています。

形も大きさもさまざまです。

閑時作業とその成果11
反射炉が熱効率を良くするのです 84
閑時作業とその成果12
講評:ちょっと大きすぎて効率が悪い 01

便所も一工夫(本部)。
右は、洋式便所です。
トイレットペーパーは雨よけの屋根もあります。

これは、本部サイトでリーダーが作ったものですが、サイト見学でスカウトに見せますから、彼らもアイデアを盗んでいくことでしょう。

過去には、水洗トイレを作った班もありました。
それが、清潔かどうかは別として、作ることをいかにも楽しんでいます。

閑時作業とその成果13
これでも便所? 01
閑時作業とその成果14
ハイ、こうやって使います 01

個々の工作物の作り方を、野営までの班長訓練などで教えるということは、あまりしません。
もちろん、基本技術の縛材法などは、練習しますが。

それがこうやっていくつもの工作物ができてくるのは、長年の各班の積み重ねと言えます。
野営の前には各班にサイト・工作物の設計図を提出させますが、「提出するように」というだけで、ちゃんと出てきます。
新入隊員が工作物というものを見て、見よう見真似で一部を手伝って、4年目になるころには、すっかり作り方を憶え、今度はここを改良してやろうまで考えるようになるのです。
こうなるために、春にも5〜6泊の野営を行っているのも大きいでしょう。

また、本部のサイト見学で、スカウトが良いところを盗んで行くこともあります。
逆に、スカウトが新発想で作るものもあり、そのスカウトがリーダーになって、本部でそれを活かしたものを作りますから、それをまた、スカウトが盗んでいく。
この繰り返しで、夙川スカウトとして、これだけの設営技術が蓄積されているのです。

閑時作業とその成果15
本部サイト 01
閑時作業とその成果16
食器置きもさすがによくできています 01

さて、こうやって工作物を作り、快適なサイト作りを目指す野営を私たちは行っていますが、工作物を作ること、そのものを目的としているのではありません
あくまで、工作物を作ることを通じて、(サイトという)空間を把握しながら、自分で考えて、より良い方向(問題解決)を探す素養を養っているので、作るために作るのではないのです。

閑時作業は工作物以外にも、フライの張り方道のつけ方薪拾いの時間設定物の置き方など、改良する着眼点はいろいろあります。
それを、各自の分担の持ち場で、班長の指示で、あるいは、班で協議しながら行う閑時作業は、班制教育を最大限に行える機会です。
工作物の作成はその手段のひとつに過ぎません。

とはいえ、工作物を作っていくことは野営の醍醐味でもあります。
しかし、工作物は、ある程度できるようになってから、工夫の喜びが得られるものです。
その意味では、まずは工作物を作らせることに重きを置くこともあるのですが、リーダーとしては、本来の目的を見失わず、ともかく、楽しんでサイト作りができるように導いていきたいものです。

そうするには、点検・講評を上手くする必要があります。

は、その点について、説明しましょう。

閑時作業とその成果17
設営中のサイト全景 81
S.T.A. (Spare Time Activities)
「閑時作業」、「個別に行う課題作業」のこと。
訓練手法としては、自己研修の中にはいる。
一般に自由時間にする課題のこともさす。
S.T.A.という言葉はウッドバッジ研修所や実修所で用いられることかあるが、Spare Time Activitiesの略である。
余った時問に行う作業の意味であるが、これはベーデンパウェルがそういう名称をつけ、それがギルウェルの実修所で常用されるようになった、一種のスカウト用語であるが、これを日本へ伝えたのは佐野常羽氏であった。
彼はこれを「閑時作業」と言って、昔の(大正末期より昭和初期)日本の実修所で課業として取り入れていた。
実修所、研修所は大変忙しいプログラムで進んで行くが、その忙しい、閑時などありそうにない時問の中てなんとか工夫をして、Spare Timeを見つけ出し(作り出し)与えられた課題をこなしていくわけであるが、そのような意味では「節時作業」、「忙中作業」とでも名称を変えた方がぴったりくるかもしれないが、「閑時作業」は単に実修所、研修所だけのものでなく、生活態度の問題であって、いかに合理的に、かつスマートに行動し、仕事をかたづけるかであって、訳語の、適、不適は間題ではない。
のんびりさせておいたら人間は怠けると言う国民的性格に間題があるようである。
(スカウト用語の基礎知識−長 八洲翁著より)
STA
良く知られたSpare Time Activityであるが、日本語では閑時作業と訳す。
閑でもないのにやらされると苦情を言ったかつての入所者の中には、これをSleeping Time Activityと揶揄する向きもある。
(ウッドバッジメモラビリア−富澤 準治著より)
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