アメリカ連盟隊長ハンドブック(第5版)から
月の具体的計画

班制度3 作業計画の立案
第6章 月間計画

・・・

月の具体的計画

  そこで班長たちは具体的計画に取りかかった。それはこういうことになるだろう。
  その月の第一週に各班員用として約3メートル半の緊縛用ロープを用意する。班長はさくたん止めと、開拓技能に重要な巻き結びとねじ結びを班員に教える。少年たちは、おのの使用法の練習を始めるだろう。その週の隊集会では、ロープを使って結索ゲームを行ない、モデルの橋作製を実演することになるだろう。
  第二週には、各班は緊縛法とおののとぎ方にかかる。隊集会では結索ゲーム、無線塔のモデル作製実演および旗竿の立て方など、緊縛法を含む班の競技を実施するだろう。
  またこの週に各班は、モデル橋作製用の材料を集めるためハイキングを行わねばならないだろう。各スカウトは、次週に実施される橋台作製作業に使うため棒がいるので、小さい木を切る許可を得なければならない。
  第三週には、班集会で橋台作製の練習をし、橋のモデルを作る。それから隊集会で各班は橋のモデル作製を実演し、面白い結索ゲーム、橋台作りの班競技を行なう。
  第四週は、伐木と結索を実習させて班として奇襲攻撃の最後の準備をする時である。隊集会では、奇襲攻撃と同じ無線塔のモデルを作り、また結索ゲームをやるかもしれない。
  そして最後にその月の大作業、奇襲攻撃を決行する。その隊ハイクは開拓作業と忍び寄りを含む戦闘で、興味と興奮に満ち、スカウトたちにとってすばらしく面白いものとなろう。

月間テーマ「開拓」を隊プログラムに具体化の手順
前月中旬 班長会議の打ち合わせ
テーマの詳細を4週のプログラムに組む。
指揮と所要物資入手の責任者を定める。
実演、展覧、用具係りの班を決める
前月下旬 班長会議のハイキング
班指導法の訓練と下記の訓練
おの:とぎ方、取り扱い法、切り方、伐木法
結索:ロープの種類、投げ方、結索法、緊縛法
作業:小無線塔を作る

屋 内 野 外

班の集会 隊の集会 班・ハイキング
またはキャンプ
隊のハイキング
またはキャンプ
その他の活動
班および隊集会の通常の諸作業、ハイキング、キャンプを計画に入れる
季節的活動
善行
審査員会
その他
第1週 ロープ投げ
結索法、特に巻き結び、
ねじ結び、ひとえつぎ
の点検
スピード結索法
目かくし結索法
おのの使用法
検査
  各スカウトのロープ
  橋のモデル作製実演
ゲーム
  結索リレー


第2週 緊縛法習得
橋設計
おののとぎ方
班・ハイキングの計画
検査
  各スカウトのもやい結び
  無線塔のモデル
  作製実演
ゲーム
  ノット・フープリレー
モデル作製用材料収集
許可を得て橋台作製に使う
棒を切る
簡単な橋を造る

月の中旬 班長会議は翌月の計画を作る
第3週 緊縛法点検
橋台作製練習
橋のモデル作成
検査
  ロープの2ヶ所結び
  各班の橋のモデル
  作製実演
ゲーム
  チェイン・ギャング・レース


第4週 結索ゲーム
2人結索
無線塔のモデル作成
特別作業の計画
検査
  ロープの2ヶ所結び
  各班の無線塔モデル
  作製実演
ゲーム
  緊縛リレー

特別作業
無線塔立て方を含む
特別攻撃
月末 班指導法の訓練および翌月テーマの打ち合わせの班長会議

班制度5 隊の生活
第8章 今夜は隊集会だ

  理想的に言えば、隊は室内集会を持つべきではない。あらゆる隊活動は戸外で行うべきである。
  スカウティングは野外で行う活動を意味し、少年たちを山野で、生活させながら、社会意識を植え付けるのが、本来のあり方である。少年たちがスカウト活動にはいるのは、自由にのびのびと野外生活を楽しむためで、室内に閉じこめられるためではない。
  しかし、これは、あくまでも理想であって、天候や、近代生活の特殊性のために、隊の活動を、四つの壁の中に閉じ込めなければならないこともある。
  室内で集会を開くことは、スカウト活動のうちに、入らないという考え方を持っている少年が非常に多いが、これは全く自然現象である外ない。しかし、室内集会は、戸外活動のために必要な準備段階である。

隊集会の目的

  隊集会の目的は、次の三つに大別することができる。
1. 集会の行われる前には、各班毎に準備しなければならないから、班員全部が一つになって準備に協力することにより、班の団結が強くなる。たとえば、隊集会のプログラムとして、救急法、結索法、摩擦で火を起こす等が取りあげられたら、各班はあらかじめそれに対する用意をしなければならない。信号競技やなわ結び競技があるときは、前もって練習しておかないと良い成績をあげることができないからである。
2. 各スカウトは、隊集会に出席すれば、次回の野外訓練に役立つ新しいことを覚え、スカウト活動へ一層深い興味を抱くようになる。
3. 多くの少年たちが集まって経験を共にする隊集会は、大きなスカウトの仲間の一員として感じさせ、相互の間の親近感を強める。

隊集会の回数

  スカウト活動は、班中心の野外活動に重点があるのであって、隊集会は、それに正しい始点を与える働きをする。従って、一週間に一度は必ず開かねばならぬというものではない。一週間に一度の割合で隊集会を開いている隊も少なくないが、少なくとも一ヶ月に二回は、班に重点をおき、班コーナーでの班別会合を主としている。
  そして残りの、一週間おきの二回は、班集会として45分の時間を割り当てている。(隊集会の班別会合は10分から15分である。)この方法は、班員が広い地域に散らばっていて、毎週の集会に全員集まることがむずかしい場合に特に効果的である。
  ハイキング、班集会、リーダー会議などのことを考えると、隊集会は二週間に一度の割合で開くのが適当だとわかるだろう。
  隊の月間計画の基準は大体次のようなものになる。班集会毎週一回、第一週と第三週に隊集会、第四週にプログラム立案の班長会議、第三の土曜日に隊ハイク、または隊キャンプ、という予定になる。これでよい成績をあげている隊も少なくない。隊集会を毎週一回、戸外班集会を毎週一回、それに班長会議、隊ハイク、隊キャンプと盛りたくさんの行事をやっている隊もあるが、それで果たして、ほんとうにしっかりした班が作れるだろうか。
  隊集会に重点をおくあまり、班集会をしめ出したり、隊集会でのほんとうの班活動ができないというようなことになると、それは、犬尾を振るのではなくて、尾が犬を振り回すことになって、班いずれにせよ、行事の立案は班長会議に一任すればよい。少年たちの家庭生活や学校の勉強を犠牲にすることなしにスカウト活動に割くことのできる時間は、少年達が一番よく知っているからである。

SCOUTMASTER'S HANDBOOK FIFTH EDITION, 1967 BOY SCOUTS OF AMERICA より
※ 著者は William Hillcourt

トップ
Copyright (c) 2001 Boy Scouts of Shukugawa
Shukugawa Scout Club
スカウトクラブ このホームページに関してのご意見は info@shukugawa-scout.net まで